8.3 地震調査観測の体制

 地震活動の現状評価や地震発生の長期的予測を目標として, 我が国では図8.7に示すような 様々の地震調査観測が実施されています.

=== 図8.7 地震調査観測の諸手法 ===
地震調査観測の諸手法
 これらの各項目に関する内容と,我が国における調査観測の現状については,次項以下で詳しく説明しますが, これらの調査観測は,それぞれの機関が各々の特色を生かしながら実施しています.
 たとえば国土地理院は,もともと国土の地図作成を本務として測地測量を行っている機関ですが, その繰返しの過程で検出される地面の動きは,地震に伴う地殻変動や, 地震の準備段階における歪蓄積状況を知る重要なデータを提供することになります.



現在,我が国で地震に関する調査観測や研究を実施している主要な機関とその内容は,以下のとおりです.

国立大学等 各地域における微小地震・地殻変動・電磁気・地球化学等の基礎観測
活断層等の基礎調査
陸域および海域での機動型総合観測
地下構造・岩石破壊等の基礎研究
防災科学技術研究所 全国的な高感度地震観測・広帯域地震観測・強震観測・傾斜観測
首都圏における深層観測・海底地震観測
地殻応力測定等の基礎調査
気象庁 全国的な大中小地震観測・震度観測・検潮観測・地磁気観測
観測強化地域での海底地震観測・体積歪観測
津波・地震の監視.
国土地理院 全国的な測地測量・重力測量・地磁気測量
全国的なGPS観測・VLBI観測・検潮観測
海上保安庁海洋情報部 日本列島周辺の海底地形・構造調査
海域での地磁気測量.SLR観測・検潮観測
産総研活断層・火山研究部門
(旧地質調査所の一部)
全国的な活断層・活構造調査
地下水・地球化学観測
岩石破壊実験
情報通信研究機構 宇宙技術を利用した測地観測手法の開発
首都圏でのVLBI観測・SLR観測


=== 図8.8 我が国における地震調査研究の推進体制 ===
我が国における地震調査研究の推進体制
 以上に述べた観測研究機関を実施主体として,現在の我が国における地震調査研究の推進体制は, 図8.8に示すようになっています.
 地震調査研究推進本部の下には,政策委員会と地震調査委員会が置かれています. このうち,政策委員会では,地震調査研究の推進に関する基本的な施策の立案,予算等事務の調整を行うほか, 地震の調査観測計画を作成する地震調査観測計画部会を設けています. この部会では,全国的に均一な観測網による地震観測および地殻変動(GPS)観測, ならびに主要活断層の調査を,当面推進すべき「基盤的調査観測」と位置付け,その推進を図っています.
 一方,地震調査委員会は,気象庁に一元化された観測データや, 各調査研究機関から独立に提出される観測データに基づいて, 毎月定期的に全国の地震活動の現状評価を行っています. また,活断層型地震や海溝型地震の発生に関する長期評価なども進めています.

 なお,地震予知計画に基づいて国土地理院長の諮問機関として発足し, 30年間にわたって活動を続けてきた「地震予知連絡会」は, 今も地震予知に関する情報交換の場として3ヶ月毎に定期会合を開いています.
 また,東海地震に係る特別な体制として設けられた「地震防災対策強化地域判定会」(事務局:気象庁)も, 委員の打合せ会を毎月開催し,東海地域周辺の地震活動および地殻変動の状況に関する定期的な検討を行っています.



=== 図8.9 地震観測施設一覧 (2013年3月末現在,地震調査研究推進本部調べ) ===
地震観測施設一覧
 地震調査研究推進本部は毎年,各機関が地震の調査観測のために設置している観測施設のとりまとめを行っています. 図8.9は,2013年3月末現在における機関ごとの観測施設数を一覧表にしたものです.
 次の9章では地震観測,10章では地殻変動観測,そして11章ではその他の調査観測項目について解説します.




★防災科研のホームページに戻る               ◄ 前の節へ戻る      次の節へ進む ►