陸側プレート内の浅いところに発生する内陸型地震は,
図4.13の概念図に示したとおり,
プレート同士の圧縮力を受けて地殻内に蓄積された応力が,岩盤の破壊強度を超えることによって生じます.
地下における応力の加わり方は複雑であり,力の働く向きの組み合わせの違いによって,
様々なタイプの断層運動が発生します.
また,いったんこのような断層を生じた場所は,それが「くせ」となり,
繰り返し地震を発生させることが知られています.
最近に至るまで,このように繰返し地震を発生させてきた断層は,とくに「活断層」と呼ばれています.
地殻内部に働く応力の状態は複雑であり,その状況によって, 図3.7の発震機構解表示法で示したような, 様々の型の断層運動を生じます.
=== 図6.1 断層運動の種類 ===
図6.1は,断層運動の種類を,
ブロック間の相対的な動きとして示しています.
断層面が傾いている場合,両側の岩盤のうち,浅い側を「上盤」,深い側を「下盤」と呼びます.
断層面を境として両側のブロックが上下方向に動くときを「縦ずれ断層」と呼びますが,
上盤側がずり下がる場合を「正断層」,のし上がる場合を「逆断層」と言います.
一方,両側のブロックが水平方向に動くときは「横ずれ断層」と呼び, 断層線に向かって相手側のブロックが右に動く場合を「右横ずれ断層」, 左に動く場合を「左横ずれ断層」と言います. 我が国の内陸地震では,中部地方から西日本にかけては横ずれ断層型が多く, 東北地方などの北日本では逆断層型が卓越すると言われています.
内陸部でM7程度以上の大地震が発生すると,多くの場合,地表に断層が出現します. 近年の例としては,6,425名の犠牲者を出した兵庫県南部地震(M7.2)に際して, 淡路島西岸の野島断層が動き,食い違い量1.5〜2mの右横ずれを生じたことがよく知られています (図2.3).
=== 図6.2 1891年濃尾地震の際にずれた根尾谷断層(岐阜県水鳥) (撮影:瀬古安太郎) ===
我が国で観測されたもっとも大規模な地表断層としては,
1891年濃尾地震(M7.9)の際に岐阜県根尾村の水鳥(みどり)に出現した大断層が有名です
(図6.2).
この地震は,我が国の内陸部で発生したものとしては例外的に規模が大きく,7,273名の死者を伴いましたが,
水鳥に現れた断層も,上下方向に6m,水平方向に左ずれ2mの食い違いを生じるという,巨大なものでした.