【キーポイント】
- 能登半島から山形沖での反射法探査の記録を陸域観測点で読み取り,地震波トモグラフィー解析に用いたことにより,能登半島と佐渡島の間の浅部の低速度域が明らかになった。
- 防災科研S-netのデータにより,太平洋下の深さ20-50kmの構造が明らかになった。
- 2007年能登半島地震,2007年中越沖地震,2019年山形県沖の地震はP波の高速度域と低速度域の境界で発生した。
- 2019年山形県沖の地震の西側には深さ10-30kmに最上トラフに対応する高速度域が存在し,この高速度域は淡島や佐渡海盆まで達する。
松原 誠1・石山 達也2・野徹夫3・植平賢治1・望月将志1・金澤敏彦4・高橋成実1・神谷眞一郎1
[1] 防災科学技術研究所, [2] 東京大学地震研究所, [3] 海洋研究開発機構, [4] 地震予知総合研究振興会
<要旨>
防災科学技術研究所(防災科研)が運用する陸海統合地震津波火山観測網(MOWLAS)の高感度地震観測網(Hi-net)や気象庁,大学等が運用する陸域定常観測網等の地震観測データを使用し,
日本列島下の3次元地震波速度構造に関する研究を進め2008年に標準速度構造モデルを公開しました。その後,順次改定してきました。
MOWLASの中の日本海溝海底地震津波観測網(S-net)や地震・津波観測監視システム(DONET)に加えて,海域でのエアガンを用いた反射法探査の陸域観測点での読み取りデータも活用し,
富山湾から山形沖にかけての日本海側の海域浅部の構造も明らかになり,その結果がEarth, Planets and Space誌に掲載されましたので,標準的三次元地震波速度構造モデルを公開いたします。
<掲載情報>
本成果は,2022年11月22日にSpringer発行の学術誌「Earth, Planets and Space」にオンライン掲載されました。
論文:
Matsubara, M., T. Ishiyama, T. No, K. Uehira, M. Mochizuki, T. Kanazawa, N. Takahashi,
and S. Kamiya, Seismic velocity structure along the Sea of Japan with large events derived from seismic tomography for whole Japanese Islands
including reflection survey data and NIED MOWLAS Hi-net and S-net data, Earth, Planets and Space (2022) 74:171, https://doi.org/10.1186/s40623-022-01724-0
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